
テクニカル指標の種類
さて、このコラムではテクニカル指標を勉強していきましょう。
テクニカル指標とは過去の値動きや出来高のデータから投資判断をしやすくするために数値化した指標のことを言います。
ここではテクニカル指標にはどんなものがあるのか、大きく三種類に分けて勉強していきましょう。
≪トレンド系のテクニカル指標≫
まずはトレンド系のテクニカル指標です。
トレンド系のテクニカル指標は、どちらの方向に動いているかという、大まかな方向を把握するために使うテクニカル指標のことを言います。
トレンド系のテクニカル指標の代表的なものとして、移動平均線や一目均衡表があります。
≪オシレーター系のテクニカル指標≫
オシレーター系のテクニカル指標は、「買われすぎ」や「売られすぎ」を判別するものです。
トレンド系のテクニカル指標で上方向に向かっている上昇トレンドだと感じても、オシレーター系のテクニカル指標を見て「買われすぎ」を示しているのなら、そこからの上昇余地は少ないと判断して投資は控えた方がよいかもしれません。
また、「買われすぎ」のときに買わないようにするために使うほか、「売られすぎ」の水準で買い付けて、株が反発して売られすぎの水準を解消したら売るという使い方もあります。(逆張り)
オシレーター系のテクニカル指標の代表的なものとしてRSIや移動平均かい離率などがあります。
また、トレンド系とオシレーター系の両方の要素を併せ持っているテクニカル指標としてMACD(マックディー)というものもあります。
≪出来高系のテクニカル指標≫
トレンド系、オシレーター系のテクニカル指標は、株価の値動きと日数のデータから算出されますが、それ以外に出来高に関するテクニカル指標というものもあります。
出来高とは単純にどれだけの売買が行われたかを表すもので、出来高が普段に比べて多ければ売買が活発に行われたことを示すことになります。
出来高系のテクニカル指標としては出来高移動平均線やボリュームレシオなどがあります。
どの指標を利用しても構いませんが、売買ルールを作成する際にはトレンド系、オシレーター系だけでなく、出来高に関するテクニカル指標をぜひ利用することをおすすめします。
出来高は株価に先行するという言葉があるぐらい、株の短期投資において出来高の考え方は重要なのです。
ゴールデンクロスとデッドクロス
さて、テクニカル指標を勉強していく上で欠かせない考え方にゴールデンクロスとデッドクロスの考え方があります。
テクニカル指標の見方として非常によく使われる考え方なので、ここで押さえておきましょう。
まずは、ゴールデンクロスです。
ゴールデンクロスは買いのタイミングを捉えるためによく使われるもので、感応度の高いものが感応度の低いものを上に抜けていくことをゴールデンクロスと言います。
感応度とは、あるデータの動きに対してどれぐらい反応するかを示す指標です。
移動平均線を考えた場合、5日移動平均線よりも25日移動平均線の方がゆったりと動くので感応度が低いといいます。
ここでは単純に激しく動く方が感応度が高い、ゆったり動く方が低いと認識しておけばよいでしょう。
例えばゴールデンクロスの例として次のページの絵を見てみてください。
青色の線が5日移動平均線で赤色の線が25日の移動平均線と考えていただき、感応度の高い5日移動平均線が25日移動平均線を上に抜けていっている矢印の箇所のことをゴールデンクロスと言います。
このゴールデンクロスは、移動平均線だけでなく、あらゆるテクニカル指標で買いのタイミングとしてよく使われるポイントですので覚えておいてください。
デッドクロスはゴールデンクロスの逆で、感応度の高い移動平均線が感応度の低き移動平均線を下抜けることを言い、売りのタイミングと言われます。
移動平均線の勉強
さて、ここからは個別のテクニカル指標について、勉強しましょう。
まずは移動平均線です。
先ほどのゴールデンクロスとデッドクロスのところで説明した買いのタイミングと売りのタイミングを把握する使い方が基本になりますが、それ以外にも使い方はあります。
例えば、トレンドを把握する際の使い方として短い期間の移動平均線と長い期間の移動平均線の関係を見てみましょう。
短い期間の移動平均線が上にあれば上方向に向かいつつある上昇トレンド、短い期間の移動平均線が下にあれば、下落トレンドと考えることができます。
このように移動平均線は「現在の株価と5日移動平均線の関係」や「5日移動平均線と25日移動平均線の関係」など、二つの線や株価を比べて使うのが一般的です。
また、例えば先ほどの二つの関係の例
・現在の株価と5日移動平均線の関係
・5日移動平均線と25日移動平均線の関係
の場合、前者の方がより短期的な動きを把握するのに適しており、いち早くトレンド発生タイミングを捉えることができるのですが、ダマシ(※)が多くなります。
一方、後者の方はより中期的なトレンドを見るテクニカル指標で、ダマシが少ないですがトレンド発生を捉えるのが少々遅くなります。
また、チャート上で現在の株価>5日移動平均線>25日移動平均線>50日移動平均線の順に並んでいるときは、その銘柄はしっかりとした上昇トレンドの最中と考えることができます。
(※)ダマシとは…ダマシとはテクニカル指標において売買のサインが出たものの、結局は逆の動きをすることを言います。
ダマシを完全に避けることはできませんが、様々なテクニカル指標を組み合わせて使うことでダマシにあいにくくなります。
一目均衡表の勉強
一目均衡表とは転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパンの5つの線からなるテクニカル指標で株の短期投資に取り組む投資家に人気のあるものです。
証券会社でも利用している人が多くいますし、その名のとおり一目見て状況が分かることから一目均衡表と名付けられています。
また、株価だけでなく日柄、時間的な概念を取り入れている点で、非常に珍しいテクニカル指標と言えるでしょう。
本サイトは株の短期投資、特にスイングトレードを意識して書かれていますが、一目均衡表はスイングトレードとも相性の良いテクニカル指標と考えられます。
一目均衡表について細かく説明していると本が一冊かけてしまう程になりますし、全て理解するには相当な時間がかかると思われますが、ここでは一目均衡表で最も大事とされる三役を解説していきますので、もし可能であれば証券会社のチャートツールを確認しながら読んでみてください。
一目均衡表における三役とは
(1)基準線と転換線との関係
(2)遅行スパンと26日前の株価の関係
(3)雲と現在株価の関係
の三つです。
一つずつ見ていきます。
≪基準線と転換線との関係≫
・基準線を転換線が上抜けると買いサイン。
・また、転換線が基準線の上にあれば上昇トレンド。
≪遅行スパンと26日前の株価の関係≫
・遅行スパンが26日前の株価を上抜ければ買いサイン。
・また、遅行スパンが26日前の株価の上にあれば上昇トレンド。
≪雲と現在株価の関係≫
・株価が雲の上にあれば雲を下値抵抗線とした上昇トレンド。
・株価が雲の上限を上に抜ければ買いサイン。
勿論、全ての項目について逆に動けば下降トレンドや売りサインとなります。
ちなみにこの三つの関係全てがゴールデンクロスをすることを三役好転といい、強い買いポイントとされています。
つまり
「転換線が基準線を上抜ける、遅行線が26日前株価を上抜ける、現在値が雲を上抜ける」
の条件が全てそろった時のことを三役好転と言うわけです。
MACDの勉強
MACD(マックディー)は二つの線の関係とその位置から相場の周期とタイミングを捉えて売買の判断をしていくテクニカル指標となります。
ほとんどのテクニカル分析はトレンド系とオシレーター系に分類されますが、MACDはトレンド系、オシレーター系両方の要素を併せ持っているといってもよいかと思います。
また、一般的にMACDはダマシが少ないと言われており、バランスが取れたおすすめのテクニカル指標と考えております。
基本的にMACDは二つの線(MACDとMACDシグナル)からトレンドと売買タイミングを見ていきますが、今回も一目均衡表の時と同様に証券会社のチャートツールでMACDを表示させながら確認いただけるとよいと思います。
一般的な使い方は以下のようになります。
・0ラインより低い位置からMACDがMACDシグナルをゴールデンクロス→買いのサイン
・MACD、MACDシグナルが0ラインを上に抜けると強い上昇トレンド継続
・MACDがMACDシグナルの上にあれば上昇トレンド
・0ラインより高い位置からMACDがMACDシグナルをデッドクロス→売りのサイン
・MACD、MACDシグナルが0ラインを下に抜けると強い下落トレンド継続
・MACDがMACDシグナルの下にあれば下落トレンド
一般的にMACDはダマシが少ないと言われてはおりますが、上下どちらにもあまり動かない横ばいの相場が続くとダマシが多くなることにも注意が必要となります。
かなりおすすめのテクニカル指標であることは言えますが他のテクニカル指標と合わせて使っていくとで、より効果的に利用できると覚えておきましょう。
RSIの勉強
続いてRSIについてみていきましょう。
RSIはオシレーター系のテクニカル指標で、買われすぎや売られすぎを判別する際に使います。
証券会社のチャートツールでRSIを表示させるとローソク足チャートの下に折れ線のチャートで表示されるのが一般的です。
RSIの数値の見方としては以下が目安になります。
70以上…買われすぎ
60~70…少し買われている
40~60…中立
30~40…少し売られている
30以下…売られすぎ
トレンド系のテクニカル指標で上昇トレンドを示したとしても、RSIで買われすぎの際には
「さらなる上昇の余地は少ないかもしれない」
と考えて注意した方がいいかもしれません。